爬虫類・両生類にまつわる法律はいくつかありますが、ここでは代表的で身近なものを紹介します。
法律は時代や状況によって変化していくものなので、知らない間に法律が変わっていたりするものです。
知らなかったでは済まない場合もあるので、生き物を飼育している人は法律の動向にいつも注意をしておく必要があります。
各法律にホームページが設けられているので、そちらをチェックするなどして最新の情報を手に入れると良いでしょう。
動物愛護法
動物愛護法はこれまではこれまでは犬や猫をメインとした哺乳類を主とするものでした。
しかし近年では、明確に爬虫類、鳥類もその対象になりました。
とは言っても基本的には犬猫向けの法律なので爬虫類飼育者が覚えておきたいものを挙げておきます。
業登録の義務
爬虫類を販売するには業登録と講習の受講が義務付けられています。
ショップはもちろんのこと、ブリーダーのように恒常的に殖やして販売する場合は、この業登録をしなくてはなりません。
特定動物
いわゆる危険動物のことです。
飼育が禁止というわけでなく、届け出をして許可が得られれば飼育は可能です。
ほとんどの種は販売していませんが一部の特定動物は
ショップの店頭で稀に見られることもあり、個人で飼育している人もいます。
<特定動物に指定されているハナブトオオトカゲ⬇︎>
<特定動物の爬虫類たち>
カメ目
カミツキガメ科:全種(特定外来生物であるカミツキガメを除く)
トカゲ目
ドクトカゲ科:全種
オオトカゲ科:コモドオオトカゲ、ハナブトオオトカゲ
ニシキヘビ科:アメジストニシキヘビ、オーストラリアヤブニシキヘビ、インドニシキヘビ、アミメニシキヘビ、アフリカニシキヘビ
ボア科:ボアコンストリクター、オオアナコンダ
ナミヘビ科:ディスフォリドゥス属(ブームスラング属)全種
ラブドフィス属(ヤマカガシ属)全種
タキュメニス属全種
テロトルニス属(アフリカツルヘビ属)全種
コブラ科:全種
クサリヘビ科:全種(特定外来生物であるタイワンハブを除く)
<世界最大の毒ヘビ キングコブラ⬇︎>
ワニ目
全種
※2018年5月11日現在
特定動物の飼育には厳しい基準が設けられており、許可がもらえても、その基準をキープできなければ飼育許可は取り消されます。
もちろん無許可の飼育や不正の手段での許可を受けたりすると法的に罰せられます。
外来生物法
国外から侵入してきた生物が在来種を脅かさないようにするための法律です。
大きく「特定外来生物」「未判定外来生物」「要注意外来生物」に分けられます。
特定外来生物に指定されると生体の輸入、売買、譲渡、繁殖、移動などが禁止になり、それを破った場合の罰則は非常に重いです。
私たちに関係がある身近なものではウシガエルとカミツキガメがいます。
これらを野外で発見した場合、捕まえても、その場で逃せば違法ではありません。
しかし捕まえて一度家に持ち帰り、別の場所に逃せばそれは移動にあたり、違法となります。つまり野外で彼らを見つけても私たちは何もできないのです。
外来生物に指定されている種は爬虫類と両生類でもかなりの種類がいますので、気になる方は調べてみてもいいかもしれません。
※特定外来生物のカミツキガメ
種の保存法
国内外の絶滅の恐れのある野生動物の種を保存するために平成5年の4月に施行された法律です。
サイテス(CITES)は条約であり、II類やIII類に関しては、国内に入っているものに関しては、それを取り締まる法律はないですがサイテスI類の生体は種の保存法の管轄になります。
サイテスは2年ごとに改定があるので、もしかしたらあなたの飼育している生き物がいきなりI類になる可能性もあるのです。
もしそうなった場合はその飼育している生き物を、一生手放さず、譲渡も売買もしないのならそのまま飼い続けることが可能です。
しかしなんらかの理由で手放さないといけない状況になった時のために、サイテスI類になった時点で届け出を出して、登録票を入手しておけば譲渡も売買も問題にはなりません。
登録票がないまま人に譲渡や売買すると種の保存法で取り締まられてしまいます。
また、サイテスI類は死体や剥製、爪1本、甲羅のかけらといった小さなパーツであっても規制の対象になります。
文化財保護法
生き物には一見関係なさそうな法律ですが、対象となるのは「天然記念物」です。
どこの個体でも同じ扱いになる「特別天然記念物」と「地域指定の天然記念物」に分けられます。
例えば、沖縄のミナミイシガメを捕っても問題ないですが、京都のミナミイシガメを捕れば逮捕されます。
有名な爬虫類、両生類の天然記念物はオオサンショウウオ、セマルハコガメ、リュウキュウヤマガメなどがいます。
※世界最大の両生類オオサンショウウオ。最大150センチにも達することもある。
※絶滅危惧種のセマルハコガメ